コピックの退色(色あせ)は防げるか?UVカットアクリル板・ガラス板の退色実験で最適な保護方法を調査してみた

こんにちは。Webデザイナー兼コピックイラストレーターの柚水流亜( @yuminaruaBlog@yuminarua)です。

 

コピックは豊富なカラーと手頃な使い心地から、絵を描く方でコピックを愛用している方も多いのではないでしょうか。

好きな漫画家さんやイラストレーターさんが使っていることに憧れてコピックを始めたという方もいるのでは

 

そんなコピックの唯一と言っていいほどの弱点は「退色(色あせ)のしやすさ」だと思っています。

コピックで描かれたイラストはかなり退色(色あせ)しやすく保管状態によってはほんの数日で当初と全く別の色合いになってしまいます。

そのため作品展でコピックで描いたイラストを展示したり、自宅で作品を飾りたいと思っても、今までずっと作品の劣化が心配でした。

折角頑張って描いたイラストです。なるべく綺麗に残したいですよね

 

そこでコピックの退色について何か良い対策はないか、個人的に調べてみました。

この記事の目次

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そもそも何故 退色(色あせ)するのか?

コピックは退色しやすいインクになっている

まず、公式サイト「.Too」さんによると、以下のような説明がされています。

コピックは染料インクを使用しておりますので褪色いたします。
元来、染料はそれ自体褪色するものなのでこれは避けられません。程度としましては、水性の染料カラーインクなどと同等とお考えください。

コピックのインクは、多彩な色再現のために複数の染料を精密に調合しており、毎回生産段階でも微調整を加えているので色による強弱のデータは固定化できません。
また、調合してある各染料ごとの耐光性にも差があるために、自然褪色していく段階でも色味は変わっていくことがあります。

(中略)

作品の保管方法は、できるだけ紫外線が強く当たる場所は避けて保管してください。

室内の蛍光灯でも紫外線は照射されておりますので、UVカットホルダー等をご利用いただけますと、気になる褪色を抑制していただくことができます。

 

もともとコピックのインクは「染料」(水に溶ける色素)で、空気中の酸素による酸化や、紫外線の影響を受けて自然退色が起こりやすい性質があります。

そのため、基本的に完全に退色を防ぐということはできません

ですが、保管方法を工夫することにより退色を抑制することはできます。

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退色(色あせ)・変色・劣化を遅らせるには?

退色・変色・劣化を遅らせるには、その原因である

  • 紫外線(UV)
  • 温度湿度の急激な変化

に気を配る必要があります。

紫外線は大敵

紫外線は太陽光だけでなく、室内の蛍光灯からも紫外線が放射されています。

また紫外線は退色の原因になるだけでなく、紙自体の変色(焼け)にも繋がります。

そのためイラストをなるべく綺麗に保存するためには、室内であっても作品を紫外線から保護する対策が必要不可欠です。

美術館などは紫外線を出さない特殊な蛍光灯・LEDが使用されているらしいです

温度・湿度の変化

物質は温度が高いと膨張し、温度が低いと縮みます。

イラストにおいてもその影響を受けるため、エアコンが直接かかる場所や窓際など、温度が極端に変化する場所はイラストの保管に向きません。

また湿度が高いと

  • カビ
  • 紙の波打ち
  • 化学変化を促進させる

ことになり、これも紙を痛めることに繋がります。

理想としては温度20度 前後・湿度55% 前後 と言われています

イラストを紫外線から保護するには?

室内に飾らない場合…クリアファイル

コピックイラストの場合、退色を防ぐためには基本的に光にあてないことが第一なので、私は普段はA4のクリアファイルブックなどに保管しています。

簡単に1枚ずつ作品を保護しつつ、コンパクトに収納できるクリアファイルは個人的にはオススメです。

クリアファイルなら紙同士がぶつかって端が折れてしまったり、絵に使っている画材(ホワイトなど)が他の絵に付着してしまうこともありません。

 

もちろんクリアファイルの表紙は不透明のものを使っています。

他にも良い保管方法があれば教えてほしいです!

展示・飾る場合…紫外線(UV)カット加工済みのアクリル板やガラス板(前面板)を使う

作品展などで飾る場合は、室内とはいえ長時間光に当たるので、

  • UVカット加工がされたアクリル板や
  • ガラス板

を使用して額装するのがオススメです。

UVカット加工のアクリル板やガラス板は、額縁の専門店・大きな画材店に行くと手に入ります。

ネット通販だと【マルニ額縁画材店】さんがサイズ豊富・お手頃価格でオススメです。

公式の見解でも、額装時には紫外線カット加工が施されたものを使用するのが理想的とされています

 

額縁の表面(前面板)の種類について

額縁の表面(前面板)に使われるものには色々な種類があり、性能が良ければ良いほど価格も上がります。

 

種類メリットデメリット
通常のアクリル板
  • 軽い
  • 割れにくいので安全
  • 透明度が高い
  • 室内紫外線を90%カット
  • ガラスに比べるとやや高価
  • 強くこすると傷が付きやすい
  • 静電気を帯びやすい
UVカットアクリル板通常アクリル板のメリットに加えて

  • 室内紫外線カット率98%
  • 通常のアクリル板よりも高価
  • 通常のアクリル板に比べると若干黄色みを帯びている
ガラス
  • 傷がつきにくい
  • アクリル板に比べると安価
  • ガラスなので割れやすく危険
  • 重い
  • 室内紫外線カット率は30%程度しかない
PET・塩ビなどの透明シート
  • 安価
  • 薄くて軽い
  • 傷がつきやすい
  • 薄いため、表面にたわみが生じやすい
  • 熱に弱く変形が起こることがある

 

私は上記の中から

を使用したことがあります。

 

その他の保管方法

私は使ったことはないですが、【UVカットカバーフィルム】を使用するという声もTwitterには上がっていました。

イラストを直接ラミネートするのは失敗した時を考えると怖いので、UVカット加工されていない手持ちの額表面に貼り付けてみると良いかもしれません。

 

▼エーワン A-one ラミネート UVカット透明カバーフィルム 空気が抜けるタイプ 6枚 A4 35045

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数種類の額縁の表面を使って退色実験をしてみた

実際に手持ちのUVカット加工が施されたアクリル板とPET・ガラス板(UVカット加工なし)を使って、どれほど退色具合に差が出るかを検証してみました。

実験に使用した4種類

この4種類を使って、約1ヶ月半ほど窓際の日があたる場所に置いてみました。

最初の状態

特に退色しやすいと思われるBV・RV・蛍光系の色を中心に、各色まんべんなく用意しました。

紙は市販のスケッチブックです

 

コピック退色実験1ヶ月半後(最初)

この紙を、▼各フレーム(額縁)に入れて、

退色実験に使った額縁

  • 室内(日中のみ蛍光灯がついた状態)
  • 日光がよくあたる窓際

の2箇所に設置しました。

実験全体の結果

実験開始前の状態

コピック退色実験1ヶ月半後(最初)

【室内】で約1ヶ月半ほど経過した結果

コピック退色実験1ヶ月半後(室内)

【窓際】で約1ヶ月半ほど経過した結果

コピック退色実験1ヶ月半後(窓際)

たった1ヶ月半でかなり変色・退色していますね…

 

今回は分かりやすくするため、

  • 室内だけでなく
  • 日光(紫外線)の当たりやすい窓際

の2箇所にそれぞれ置いてみましたが、窓際に置いた時の退色・変色の進み具合は明らかです。

それほどまでに「紫外線が大敵」ということですね

 

各フレーム(額縁)ごとに詳しく見ていきましょう。

実験結果①:そのまま(フレーム無し)の場合

【室内】で約1ヶ月半ほど経過した結果

【室内】そのまま(フレーム無し)の場合

【窓際】で約1ヶ月半ほど経過した結果

【窓際】そのまま(フレーム無し)の場合

当然ながら何もしていないフレーム無しの場合が室内・窓際ともに、もっとも変色・退色が激しかったです。

特に以下の紫系の色

  • BV11
  • BV34
  • V04
  • B66
  • FV2
  • YG23

は変色が激しく、青みの要素が抜けてピンクがかっているのが明らかです。

また、全体的にコピック特有の鮮やかさが無くなり、色あせてしまったような感じがします。

FV2は青色が完全にピンクになっていて、変わりようがスゴいですね

実験結果②:UVカットアクリル板を使った場合

【室内】で約1ヶ月半ほど経過した結果

【室内】UVカットアクリル板を使った場合

【窓際】で約1ヶ月半ほど経過した結果

【窓際】UVカットアクリル板を使った場合

紫系の色は相変わらず変色が激しいですが、フレーム無しに比べると一部の色の退色は抑えられている気がします。

特に室内に置いた場合の【BV34】の色は、変色しやすい色にも関わらず、色味の変化が少ないのでUVカットの効果が出ているように思います。

一応UVカットの効果アリということでしょうか

ただしあくまでも"室内"における紫外線カット率が98%ということなので、いくらUVカット処理がされているとはいえ、窓際に置いた場合は紫外線カット効果は期待できない印象です。

 

実験結果③:UVカットPETを使った場合

【室内】で約1ヶ月半ほど経過した結果

【室内】UVカットPETを使った場合

【窓際】で約1ヶ月半ほど経過した結果

【窓際】UVカットPETを使った場合

UVカットアクリル板とあまり結果は変わらず、退色・変色が激しい色もあれば、マシな色もあるという結果になりました

変色しやすい紫系は相変わらずピンク寄りに変わっていますが、それ以外の色については一部を除いてほとんど退色していません。

価格面やサイズの豊富さを考えるとUVカットPETも良さそうです

実験結果④:ガラス板(UVカット加工無し)を使った場合

【室内】で約1ヶ月半ほど経過した結果

【室内】ガラス板(UVカット加工無し)を使った場合

【窓際】で約1ヶ月半ほど経過した結果

【窓際】ガラス板(UVカット加工無し)を使った場合

普通のガラス板は室内紫外線カット率30%ということでしたが、フレーム無しに次いで、ほとんどの色で変色・退色が起こっています。

特に窓際に置いた場合は実験前の色の鮮やかさは見る影もありません。

室内蛍光灯のみの環境ならまだマシですが…

 

結論、価格面や扱いやすさの面を考えても、なるべくUVカットPETアクリル板を使う方が退色を抑制できると思いました。

 

避けるべき保管方法の失敗例:UVカットスプレー

過去に私が試してみて失敗した紫外線(UV)カット対策をご紹介しておきます。

それはプラモデル等で使う仕上げ剤のUVカットスプレーです。

UVカット加工がされていない額の表面(前面板)をUV対策したかったので、試しにこのスプレーをしてみたのですが、結局失敗してしまいました。

UVカットスプレーは以下の理由でオススメしません。

  • 表面を均一にスプレーするのが難しい
  • 一度スプレーで失敗すると、リカバリーができない
  • 前面板の透明感がなくなる
  • イラストに直接スプレーするのは薬剤が絵を痛める可能性がある

 

プラモデルなどの立体物なら良いと思いますが、平面のものや透明度を維持したいものには使えなかったです

まとめ

コピックの退色実験を行ってみて、改めてBV・RV・蛍光系の色が予想以上に変色することが分かりました。

使われている染料にもよりますが、基本的にはインクの中の「青み」がもっとも退色しやすいため、

  • 紫→ピンク
  • 黄緑→黄色

になりがちです。

退色は避けたいですが、あえてその変化を楽しむ作品にしても良さそうです
コピックの退色・変色・劣化に対策するためには
  • なるべく光に当たらない暗いところに保管する(飾らないで保管する)
  • 展示する・飾る場合は紫外線(UV)カット加工された額を使う
  • その上で窓際など、日光が当たりやすい環境での展示は避ける
  • 描く時に退色・変色しやすい色をなるべく使用しないようにする
  • 温度、湿度の変化が激しいところでの保管を避ける
アナログ原画である以上、劣化や退色を完全に防ぐことはほぼ不可能なので、作品が完成したら原画をスキャナーで取り込んでおくのも良いでしょう。
▼おすすめのスキャナー

コピックの退色のスピードを遅らせるためのアイテム

▼通常保管はクリアファイルがおすすめ

 

▼額装するならUVカット加工されたフレームがオススメ

 

▼ラミネートで保護する場合

 

額用のアクリル板のみを購入したい場合は、ネット通販だと【マルニ額縁画材店】さんがサイズ豊富・お手頃価格でオススメです。

以上、ここまで読んでいただきありがとうございました!
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