※本サイトで紹介している商品・サービス等の外部リンクには、アフィリエイト広告が含まれる場合があります。
こんにちは。Webデザイナー兼コピックイラストレーターの柚水流亜( @yuminaruaBlog/@yuminarua)です。
絵を描く上で、色塗りの道具と同じくらい奥が深いのが【紙】です。
同じ画材でも、上質紙や水彩紙など使う紙の種類が異なるだけで、作品が与える印象は変わります。
”自分にとって塗りやすい理想の紙”を見つけられれば、その後の創作活動もより有意義なものになります。
ですが数ある画材の中でも、おそらく高額な部類に入るコピックを始めたばかりの初心者さんには、なかなか紙にまでこだわる余裕がない方もいるのではないでしょうか。
そんな時でも、もっとも身近で安価に手に入る紙が、コピー用紙だと思います。
そして、初心者でも手に入れやすいコピー用紙ですが、コツさえ抑えれば、コピー用紙でも十分いろいろな塗り方ができます!
というわけで、今回は
- 絵を描く上でのコピー用紙の特徴
- コピー用紙にコピックで色を塗る時のコツ
- コピー用紙にコピックで色を塗る5パターンの塗り方
を、私なりにご紹介します!
コピー用紙の特徴
コピー用紙の特徴はざっと以下のとおり。
- 安くて手に入りやすい(100均でも買える)
- にじみやすく、グラデーションが作りやすい
- そのため、コピックの色数が少なくても塗りやすい
- かなり裏写りする
- たくさんの色を重ねにくい(にじみすぎるため)
- 紙そのものの耐久性が低い
コピー用紙でコピックを使う時のコツ
- インクがにじんで広がることを計算し、線より少し内側を塗る
- スピーディにさっと塗る
- 1箇所に色を使いすぎない(2〜3色程度まで)
- インクの裏抜け、色移り防止に要らない紙を下に敷く
- 下敷の紙が汚れたらこまめに取り替える
→下敷の紙についたインクが、上から染み込んだインクで滲んで浮いてきてしまい、絵を汚してしまうことがあります。
コピー用紙を使ったコピックの塗り方 5つ
以下の動画でも解説しています!
▼動画で塗ったイラストの全体像はこちら。
- 肌…E0000・E000・E00・YR00・R11(頬)
- 髪…E31・E33・E35
- 瞳…BG10・BG15・BG49
- ホワイト…デコレーゼ(ホワイト)
1.いつもの私の塗り方(中間色→薄い→濃い)
まずは私の普段の塗り方で塗っていきます。
肌・髪・瞳は、それぞれ濃〜淡に3色(肌は頬にもう1色追加)を用意し、下記の塗り方をしていきます。
- 中間色→薄い色でハイライトを残しながら塗る
- その後下の色が乾かない内に、影(濃い色)を塗り重ね、影部分をにじませる(ぼかす)
各パーツごとの具体的な塗り方は以下のとおり。
- 肌
中間色のE00をベースに、E000でぼかし、YR00で影をつける。 - 髪
E33→E31→E35で髪を塗っていきます。
まずE33でハイライトになる部分はペン先を払って塗り残し、最後に、用意した3色の中で一番濃いE35で、髪の流れと陰影を描き込みます。 - 瞳
BG10でベースを塗ってから、瞳孔が最も濃くなるようにBG02・BG49でグラデーション塗りをします。
瞳は塗る面積が小さいので、コピックの色を多く重ねすぎないように、ペン先で少しずつ慎重に、 にじみ具合を見極めながら色をのせます。
コピックで綺麗に色をぼかすためには、下の色が乾かない内に塗るのが鉄則です。
ですが、インクがにじみやすいコピー用紙では、色を重ねすぎると想定以上に色が広がってしまい、線をはみ出してしまいます。
そのため、使用する色数は多くても1パーツ3色程度を目安にし、サッとスピーディに塗り作業を進めるのがオススメです。
2.柔らかい印象の塗り(薄い→濃い)
薄い色で下地を塗り、下地が乾く前に影を塗ることで、インクを滲ませる塗り方です。
水彩などと同じで、コピックでもインクで濡れている部分に別の色を置くとインクが滲むので、色同士の境界線がふんわりした優しい印象の塗りになります。
インクが乾く前にパーツを塗りきらないといけないので、スピーディに作業する必要があります。
ですが、陰影の付け方をあまり深く考えなくても、滲みによってそれなりにいい感じに見えるので、初心者さんには挑戦しやすい塗り方だと思います。
- 肌
薄い色(E0000)で肌全体を下塗りをし、インクが乾かない内に ベース色(E00)や影・頬(R11)を塗ります。 - 髪
薄い色(E31)を下塗りしてからE35を重ねます。下塗りのインクが 乾く前に塗るために、髪を4つのパーツ(左右のテール・前髪・それ以外)に小分けにして塗ります。 - 瞳
BG10で下塗りし、上からBG15・BG49をにじませて瞳を塗ります。
3.更に柔らかい印象の塗り(0→薄い→濃い)
②の塗り方の応用で、0番(カラーレスブレンダー)で下塗りをしてから色をつけます。
下塗りの色が透明なので、先程の②で塗った方法より更に柔らかい表現になります。
特に0番でのぼかし塗りではインクがかなり広がってしまうので、 その広がりを計算し、色をつけるのは主線よりやや内側までに 留めます。
(線のギリギリまで塗らないようにする)
0番で下塗りした後は、下塗りが乾く前に薄い色から順に塗っています。
- 肌
0→E00→YR00で塗っています。(E0000などの元が薄い色は、0番でぼかすとほぼ見えなくなるので使いません) - 髪
0→E31→E35で素早く塗っています。インクが乾かないように、 ②で塗った時と同様、髪を3〜4つのパーツに分割して塗ります。
4.アニメ塗り(薄い→乾かしてから→濃い)
これまで”インクの滲み”を活かした柔らかい塗り方をご紹介してきましたが、次は【アニメ塗り】です。
アニメ塗りとは、アニメのセル画でよく見られる、陰影や色同士の境界線がハッキリしたベタ塗りのことです。
基本工程は以下の通り。
- 薄い色で画面全体をムラができないように一気に塗る
- 1で塗った色をしっかり乾かしてから、影になる部分に濃い色で重ねていく
これまでの"インクの滲み"を使った塗り方では、「インクが乾かない内に素早く」塗っていました。
ですが、アニメ塗りをする時は基本的にインクの滲みによるグラデーションを使いません。
インクを滲ませないように、あえてベースの色を乾かしてから影を重ね塗りします。
下地の段階では、肌・髪・瞳の薄い色(肌:E000/髪:E31/目:BG10)を、それぞれ1色のみで一気に塗って いきます。
ベタ塗りでは、塗っている色が乾かない内に塗る面積を素早く広げていきます。
下地が乾いたら、濃い色(E00/E35/BG15・BG49)で陰影を つけていきます。
下地が乾いていないと色が滲み、色の境界線がハッキリしたいわゆる”アニメ塗り”にはならないので注意です。
アニメ塗りではハイライトを残しながら塗るのが難しい場合もあるので、その時は後からホワイトでハイライトをつけると良いと思います。
5.水彩境界風(濃い→薄い)
最後は【水彩風】の塗り方をご紹介します。
コピックでは、濃い色を塗って少し乾かしてから、薄い色を重ねると独特のムラができることがあります。
まずは影になる部分(YR00)で色をつけます。
影で塗った色の境界線をぼかすように、上からベースとなる色を重ねます。
- 肌
まずYR00で影を先に塗り、上からE00→E0000を塗ります。
鼻の頭と あごのハイライトとの境界にインクがわずかに濃く残り、陰影にメリハリ がつきます。 - 髪
E35→E31で濃い色から先に塗ります。 薄い色を重ねる時、先に塗った色全体を覆うようにして塗ると、不要な境界線やムラができづらいです。 - 瞳
BG49→BG15→BG10で塗ります。
まとめ
100円均一などでも手に入る便利なコピー用紙ですが、ご紹介してきたように、コピックの使い方次第で多彩な塗り方も可能です。
私は原画を展示したり販売するようになってから、上質紙などの丈夫で厚めの紙を使うようになりましたが、コピー用紙も初心者向けには十分に使える紙だと思います!
私自身も、昔はコピックを買い集めることにお小遣いを使っていたので、コピックの色塗り練習にはもっぱらコピー用紙ばかりを使っていました。
まずはコピックに慣れてきてから、興味があれば他の紙もいろいろ試してみるのも良いのでないでしょうか。
私がよく使っている紙
私が一番良く使っている紙で、一般的な上質紙に比べて、更にコピック利用に特化した上質紙です。
紙の表面はなめらかで、コピー用紙や水彩紙に比べるとにじみ方が弱いです。
その分、私のように複数の色をたくさん重ねたい方にはちょうど良いにじみ方だと思います。
今回の動画で使用したコピー用紙です。
線画や下絵のラフ、色彩計画(作品の色を決める作業)を立てるときに仮塗りに使うことも多いです。
コピー用紙なのでコスパもよく、白色度が高い点が気に入っています。
私もよく利用している画材店トゥールズさんのオリジナル開発商品。
上質紙に比べればインクをよく吸い滲みやすいですが、あえて滲みを生かした塗りをしたい時はこちらの紙を使うことも多いです。
【滲みやすさ】…コピー用紙 < スケッチブック < 上質紙・ケント紙
という感じです。
また、コピー用紙よりも厚みがあるので、水分によって紙表面が波打ったり、折れたりしづらく丈夫です。
発色がよく、紙表面の凸凹具合・紙の厚みのバランスが好みです。
▼この紙を使って描いたイラスト
以上、この記事が初心者絵描きさんの参考になれば嬉しいです!
▼更に初心者向けにコピックの使い方を解説した記事はこちら